【前編】SWC関西フォーラムが京都府 八幡市役所で開催されました(筑波大学大学院・久野譜也教授が登壇)
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未来世代を支える政策連携を考える
ウェルビーイング社会の実現を目指し関西の首長らが熱く議論
Smart Wellness City首長研究会が主催する「Smart Wellness City関西フォーラム」が2026年2月13日(金)、京都府 八幡市役所で開催されました。本フォーラムは、首長間の実践共有と意見交換を促進し、国への政策提言や支援獲得に繋げていこうと企画・実施されたものです。
開催委員長となった八幡市・川田翔子市長の開会挨拶によりフォーラムが始まりました。続いて参加首長の自己紹介が行われ、八幡市とともに幹事自治体をつとめる、兵庫県西脇市・ 片山象三市長、京都府南丹市・山内守副市長のほか、三重県名張市・北川裕之市長、大阪府和泉市・辻宏康市長、京都府木津川市・谷口雄一市長、山形県南陽市・白岩孝夫市長、京都府宮津市・城﨑雅文市長、大阪府島本町・山田紘平町長、和束町・馬場正実町長、大阪府松原市・澤井宏文市長、奈良県橿原市・𠮷田晴行副市長、大阪府泉佐野市・西納久仁明副市長より、各自治体の紹介を交えた挨拶をしました。
途中参加のため冒頭でのご挨拶はありませんでしたが、大阪府摂津市・嶋野浩一朗市長、兵庫県川西市・越田謙治郎市長も参加されました。
議論席に着く参加首長ら 八幡市役所に集まった参加者ら
自己紹介の後、「これからの政策の中核はWell-being(健幸) -SIPの成果から見えた健幸を可能とする政策パッケージとは-」をテーマに、筑波大学大学院・久野譜也教授が基調講演をおこないました。
久野教授は、「日本ではGDPが伸び悩む一方、生活満足度は必ずしも向上しておらず、世界幸福度ランキングでも低位にとどまっている」と指摘。所得向上のみでは住民の幸福には直結しない現状を踏まえ、健康・所得・社会とのつながり・ワークライフバランスを統合的に捉える政策転換の必要性を示しました。
基調講演をおこなう筑波大・久野教授 久野教授による基調講演の様子
また、研究データからは、生きがいや幸福感が高い人ほどフレイルになりにくいことが明らかになっており、健康指標や医療費だけでなく「ウェルビーイングそのもの」を自治体の評価指標に据える重要性も強調。孤立・孤独、アンコンシャス・バイアス、健康リテラシーの低さが幸福を阻害する主要因であり、とりわけ若年女性のやせや運動不足など身体的課題が将来的な社会リスクにつながる可能性にも言及しました。
さらに、公共交通やスポーツ施設、複合型拠点の整備など、コミュニティ形成を意識したまちづくりが健康政策と不可分であるとの提案もなされ、「従来の縦割り型施策から脱却し、住民の“行きたくなる場”を創出することが、財政健全化や地域活力向上にも波及する」と示唆しました。
続くパネルディスカッションⅠ「若い夫婦が住みたくなるまちを実現するために必要な、女性の健康課題と支援策」では、筑波大学・久野教授が司会をつとめるなか、3名の登壇者による話題提供の後、総合討論が行われました。
話題提供①:
「産婦人科医から見たプレおよびインターコンセプションケアの重要性」/順天堂大学医学部産婦人科・北出真理 教授
少子化が加速する日本では、出産数の減少と出産年齢の高齢化が進行していることを紹介。年齢上昇に伴い不妊や妊娠合併症のリスクは高まり、体外受精に頼るケースも増加しているが、不妊治療支援のみでは少子化対策として十分とは言えない、と語りました。またこうした背景から、妊娠前から心身の健康を整える「プレコンセプションケア(プレコン)」の重要性を強調しました。
日本では若年女性のやせ(BMI18.5未満)が約2割と世界的にも高水準で、運動不足や栄養課題が低出生体重児の増加や将来の健康リスクに影響する可能性が指摘されていることにも言及。プレコンは、適正体重の維持、運動習慣、ワクチン接種、検診受診などを通じて、将来の妊娠・出産と母子の健康を守る取り組みであり、男性の関与も不可欠であることを強調しました。
さらには、自治体による検査助成や相談体制の整備、若年層への教育機会の拡充など、早期からの支援体制構築の必要性についても述べました。
話題提供② :
「子育てママへのハイリスク対応で疲弊する母子保健策の発想転換と具体策 ―内閣府SIPの成果報告も含めて―」/つくばウエルネスリサーチ・塚尾晶子 副社長
内閣府のSIP事業の一環として、子育て支援と女性の健康支援に関する新たな取り組みを紹介。日本では20〜30代女性の5人に1人が栄養不良状態にあり、やせ志向の強さや運動不足により、将来の健康寿命低下が懸念されていることを強調しました。また、妊娠期の運動が母子双方の健康に重要であることは国際的にも示されているが、妊娠・子育て中の女性の約8割が運動習慣を持たず、正しい知識も十分に届いていない現状を指摘しました。
こうした課題に対し開発中の、全国どこからでも参加可能なオンラインプログラム「MOM UP PARK」について言及。「動く・学ぶ・つながる」の3要素を通じ、専門家の伴走型支援により心身の改善とコミュニティ形成を図れ、DXを活用し地域格差を解消するとともに、母子保健、少子化対策、女性活躍支援を横断する施策として展開していることを共有しました。そのうえで、女性の健康課題を個人責任にせず、ポピュレーションアプローチとデジタル活用により継続支援の仕組みを構築することが、将来世代の健康と地域の持続可能性を高める鍵となることを示唆しました。
話題提供③ :
「女性に選ばれるウェルビーイング経営と地方銀行の役割」/筑波大学スマートウエルネスシティ政策開発研究センター・石坂明寛氏
首都圏に位置する埼玉県でも人口減少と高齢化が進み、労働力不足が県内企業の持続性に影響を及ぼしつつあることに言及。企業の99.8%を占める中小企業にとって、女性活躍の推進は重要課題であるが、有業率や正規雇用比率、管理職比率はいずれも十分とは言えず、男女賃金格差も依然大きいことに触れました。その背景には、アンコンシャス・バイアス、健康課題への理解不足、制度が活用されない職場風土、経営層のコミットメント不足といった構造的課題があることを指摘しました。
こうした状況を受け、内閣府SIPや文部科学省のリスキリング事業の一環として、筑波大学と武蔵野銀行が連携し開催した「女性に選ばれるウェルビーイング経営講座」を紹介。AIによる職場診断などを通じて課題を可視化し、企業の行動変容を促す取り組みである、とその重要性を伝えました。

パネルディスカッションⅠの登壇者ら












