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「福祉×金融」をテーマとする内閣府SIPシンポジウム開催 筑波大学大学院・久野譜也教授が基調講演

  • samata75
  • 1月30日
  • 読了時間: 3分

更新日:2月6日

福祉×金融で支える認知症社会 ー始動する金融包摂ー


第2回SIP包摂的コミュニティプラットフォームシンポジウムが1月29日、「福祉×金融で支える認知症社会」をテーマとし、慶應義塾大学三田キャンパスを会場にハイブリッド開催されました。


開会挨拶に登壇した同プロジェクトの責任者で慶應義塾大学経済学部付属経済研究所ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター長の駒村康平氏は、MCI(軽度認知機能障害)と認知症の高齢者が約1000万人、MCIと認知症の高齢者が保有する金融資産が約260兆円、個人情報の第三者提供制約により金融機関と行政の連携が不十分といった状況にあることから、プロジェクトの狙いとして、重層的支援体制整備事業等を活用した金融・福祉連携のプラットフォームモデル事業とともに、リスク検出、取引支援等を行うAIツールの開発・普及に向けた諸課題の抽出を行い、認知機能が低下した高齢者の金融資産を守り、使えるようにすると述べ、各方面の協力、支援を求めました。


続く基調講演では、筑波大学人間総合科学学術院・教授で内閣府SIPプログラムディレクターの久野譜也氏が登壇し、内閣府SIP第1期・第2期で課題となっていた「社会実装」を、第3期では徹底的にアウトカムとする必要性が述べられ、様々な社会課題が積算する中、それぞれのウェルビーイングを最大化するために、内閣府SIP第3期課題の解決は大変重要であるとも強調しました。


さらに、具体的な成果を出すために、制度化して後押ししていく必要があると訴えるとともに、本シンポジウムで特別講演を行う、厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課 認知症総合戦略企画官の遠坂佳将氏、金融庁 監督局総務課長の木村隆氏、消費者庁 地方協力課長の赤井久宣氏の登壇を貴重な機会と捉え、「3省庁との活発な議論により、研究の加速に貢献する会となるよう期待する」と述べました。



     基調講演をおこなう久野譜也教授         現地会場となった慶應義塾大学 三田キャンパス      




また、同プロジェクトで行われた「老後意識調査」では、以下のような結果が明らかになったと報告されました。


①「認知症の不安を抱く高齢者は64%(本人調査)」「親の資産の状況を把握しているのは35%(家族調査)」


②「認知機能の低下が疑われ、金融機関職員が放置できないと判断した場合、60~70%が金融機関と福祉機関の連携を望んでいた(本人調査、家族調査)」、「金融福祉連携を積極的に評価するのは、親子間の連絡・会話が多いケース」


③ 主観的認知機能が低下すると、特殊詐欺、消費者問題、EC(ネットによる契約)の被害を受ける確率は、健常者の2~3倍に上昇する」「親が認知症で金融機関口座が凍結された経験を持つ子どもは11%」


このほか、普及啓発・水平展開を目指す東京東信用金庫、複数金融機関で展開する焼津市、見守りネットワーク機能を持たせる京丹後市、緊急時の金銭管理対応を実装する世田谷区のモデル事業の取組状況や、そのほかの活動報告等が行われました。

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