自身の健康を二の次にしがちな子育て女性等を人や社会資源につなぐ「妊産婦の社会的処方」

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育児等に追われ、自身の健康を二の次にしがちな子育て女性等を人や社会資源につなぐ「妊産婦の社会的処方」プロジェクト


育児等に追われ、自身の健康を二の次にしがちな子育て女性等を人や社会資源につなぐ「妊産婦の社会的処方」

 「妊産婦の社会的処方」とは、かかりつけ医や地域ボランティア、民間企業等が、孤立の中で育児等に追われ、自身の健康を二の次にしがちな妊産婦・子育て女性に声をかけ、自治体の助産師・保健師等による母子保健事業などにつなぐ、という既存資源を活かした無理のない取り組みです。

 社会的処方とは、薬のかわりに「人と人のつながり」を処方してウェルビーイングの向上を促すイギリスで誕生した仕組みで、閣議決定された「骨太方針2021」に明記されています。

 妊産婦の死亡原因の第一位が「自殺」であるなど、心身の健康の悪化が社会問題化する中、各方面から注目されている試みです。筑波大学が明らかにしたように、必要な妊産婦が自治体の母子保健事業等につながっていない状況では、人や社会資源に結びつける社会的処方のような仕組みが欠かせません。

 

ポピュレーションアプローチとしての「妊産婦の社会的処方」

 一般的に社会的処方は、高リスク者向けの孤独・孤立対策と認識されていますが、弊社では、むしろポピュレーションアプローチとして位置づけ、中リスクや低リスクの女性の健康を悪化させず、楽しく前向きに子育てにのぞめるような社会づくり、みんなで支え会う風土づくりのための取り組みと捉えています。
 社会的処方の仕組みのモニタリングや妊産婦へのインパクト評価といったプログラム検証については筑波大学が担当し、弊社は運動プログラムの運営、プロジェクトマネジメントを弊社が担当しています。

 現在、弊社は大阪府高石市と茨城県取手市を対象に運営支援行っており、参加されたママたちからは、次のような声が聞かれています。

「オンライン交流をきっかけにママ友ができた」
「専門職と話せるので子育てに自信がついた」
「赤ちゃんと一緒に参加できる教室なので、助かる」
「家事や上の子の育児をしながら、気軽に参加できるのがうれしい」
「グループ交流でおしゃべりできたのが何より楽しかった」

 高石市は、2021・2022 年度厚生労働省保険局「保険者とかかりつけ医等の協働による加入者の予防健康づくり事業:社会的処方」のモデル事業、そして取手市は、2022 年度スポーツ庁「スポーツによる地域活性化推進事業(運動・スポーツ習慣化促進事業)」を活用しています。
なお、こども家庭庁の「令和5年度予算概算要求」においても、両親学級等のオンライン実施などを推進する「母子保健に関するデジタル化・オンライン化等体制強化事業【拡充】」が予算要求されています。

 

妊産婦の社会的処方の取り組み事例
◆大阪府高石市
 かかりつけ医や地域ボランティア(乳幼児すこやか見守りサポーターや健幸アンバサダーなど)とともに、薬局、書店、親子の遊び場といった民間企業等が、不安等を抱える妊産婦に声をかけ、自治体の助産師・保健師等による「運動+相談一体型教室」(オンライン&オンサイト)につなぐ、という取り組み。厚生労働省保険局「保険者とかかりつけ医等の協働による加入者の予防健康づくり事業:社会的処方」のモデル事業を活用して2021年度から取り組みを開始し、2022年度からは同じ医療圏域の和泉市・泉大津市が新たに加わり、声掛けする民間企業等も拡充されて、裾野を広げています。


◆茨城県取手市
 取手市が活用するスポーツ庁「スポーツによる地域活性化推進事業(運動・スポーツ習慣化促進事業)」は、運動等に制限・配慮が必要な方や無関心層等を含め、多くの住民が運動等を習慣化できるよう支援する事業ですが、妊産婦が運動等にアクセスできていない現状を踏まえ、出産・子育て女性にフォーカスしている点が特徴です。
主に医療機関と連携し、かかりつけ医や自治体の専門職がメンタルヘルスや体力の低下等が懸念される妊産婦に母親向けのスポーツ・健康づくりへの参加勧奨を行うとともに、専門職に相談できる関係性をつくることを狙いとしています。
取手市は写真アップ


◆柏の葉キャンパス(千葉県)
 2022年度厚生労働省「保険者とかかりつけ医等の協働による加入者の予防健康づくり」委託事業で実施するもの。三井不動産株式会社、まちの健康研究所あ・し・た、株式会社R-body、筑波大学等の協力のもと、妊娠16週以降~産後3年以下のママを対象とし、大阪府高石市で実施しているオンライン教室(zoom)への参加と、つくばエクスプレス線「柏の葉キャンパス駅」近くのららぽーと柏の葉北館3階を会場とした対面教室への参加のハイブリッド型で開催しています。
目指すところは、医療や地域社会からリスクを持つ母親の参加を勧奨してサービスが届くルートづくりと、コロナ禍でのストレス増大と育児で多忙な母親等が健康づくり+相談事業に参加しやすい体制の構築です。